ベルギー外国語事情
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三国峠
三国峠
(柱の左側がオランダ、
手前がベルギー、
奥がドイツ)

多言語国家

生活のあらゆる面で、ここは多言語国家であることに気付かされます。
例えば、ベルギー・オランダ間を走る国際列車に乗っている時。
ベルギーを出る時は、オランダ語とフランス語、英語の車内放送、オランダへ入った後は、オランダ語と英語、ドイツ語の車内放送が流れます。

また、ベルギーのスーパーで買い物をすると、商品の名前がオランダ語とフランス語で併記されています。
店員は、お客の話す言語に応じて、自分の話す言語を巧みに変えています。
切り替えがとても早いので、頭のどこかに「言語切り替えスイッチ」があるのではないかと疑ってしまう程です。

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広告も3ヶ国語で!

新聞にも、「EU圏内の半分の人が、母国語以外に1ヶ国語を話すことができ、4分の1の人が、3ヶ国語を自由に操れる」と掲載されていました。
何ヶ国語も流暢に話す人を見ると驚きますが、ベルギーに住んでいると、それは必然であると納得できます。
ベルギーは四国ほどの広さですが、北がオランダ語圏、南がフランス語圏、東端がドイツ語圏という様に分かれています。ヨーロッパは中国ほどの広さの地域に、多くの言語と文化が存在しています。
都市の中では外国人の比率も増えるので、街中に様々な言語が飛び交っています。

子供の言語教育

ベルギーでは、オランダ語、フランス語、ドイツ語が公用語です。
母語以外の言語教育は、「外国語教育」というよりも、国内で用いられる諸言語の習得という位置づけにあります。
6歳で初等教育が始まると、まず自分の住んでいる語圏の言語Aを母語として習います。

新聞
同じ日の新聞(左からフランス語版、オランダ語版)

そして、初等教育5年生(10歳)から、ベルギー国内で使われているA以外の言語B(オランダ語、フランス語、ドイツ語のいずれか)を学びます。
その後、中等教育1年生(12歳)から、英語(C)を選択できるようになります。
中等教育3年生(14歳)以降は、進路に応じて、さらに新しい言語(D)を学ぶこともできます。

人間ですから、得手不得手があるのは当然です。しかし、好きなテレビ番組となると、話は別のようです。
オランダ語の字幕と英語の音声を聞いているうちに、英語を理解するようになってくるそうです。
また、ベルギーでは、チャンネル数の多いケーブルテレビが普及しています。
イタリアやスペイン、フランス、ドイツ、トルコなどの番組を観ることも可能です。
オランダ語圏の2大学には、日本語学科が設けられています。日本の大学との交換留学も盛んなようです。
卒業後は、政府機関や日系企業に勤めている方もいます。

買い物
マルシェでの買い物も勉強になります

大人になってから学ぶ

大人になってからも、積極的に新しい言語を学ぶ人が多いことに、気付かされます。
目的の一位は、旅行先で使うため。
二位はビジネスや人間関係を円滑にするためです。
人気の高い言語はスペイン語、英語、フランス語です。
夏の旅行の準備として、冬の間、外国語を習う人は多いです。
オランダやベルギーでは、4週間ほど夏休みを取る人がほとんどです。長期間の滞在となると、現地語が話せると楽しみも増えます。

私立の語学学校だけでなく、市に1つはある市民大学でも学ぶことができます。
学校には、昼間ですと、主婦からおじいさん、おばあさんまでが通っています。
夜間ですと、仕事帰りのビジネスマンなどが多く通っています。
以前、同じスペイン語のクラスに、スリナム人のおばあさんがいました。彼女は70歳でしたが、夏休みを利用して、スペインへ語学留学していました。すっかりスペイン語が上達した彼女に、やる気があれば年齢は関係ないんだと確信しました。

学生たち
語学学校の学生たち

移民政策

EUが拡大されていく中で、EU圏内での人の移動が活発になり、圏外からの移民が増え続けています。
オランダ語圏では英語が通じることが多いのですが、生活するとなると、やはり、現地語であるオランダ語を話せないと不自由を感じます。
そのため、オランダやベルギー(オランダ語圏)では、移民に対してオランダ語学習が義務付けられています。
書類の記入方法、買い物、銀行振込みの仕方など、生活に密着したことから勉強して行きます。
移民に対しては、費用が無料であったり、低額(半年で約3000円)で学校に通うことができます。

私の通っているオランダ語のクラスにも、19ヶ国から生徒が集まっています。
中には、英語を習ったことのない人もいます。そのような訳で、生徒同士の共通語はオランダ語になります。
日本では初めて習う外国語が英語ですが、モロッコではそれがフランス語ですし、レバノンではフランス語か英語を選択できるそうです。

話ができる喜び

「言語」というと、難しいとか大変という先入観を持ってしまいがちです。
義務となってしまうと尚更です。でも、外国人と片言でも話ができた時というのは、単純に嬉しいものです。

ワイナリーのおじさんと
ワイナリーのおじさんと

夏にフランスを旅した時のことです。
一度訪れたワイナリーで、どうしてもワインを買いたくて、再びそこを訪れました。
オーナーのおじさんは、フランス語しか話せなかったのですが、再びやって来た私を歓迎してくれました。
私は知っている単語を並べて、「ここのワインが一番おいしかった」ことをなんとか伝えました。
そうすると、おじさんは満面の笑みで、ギュウっと抱きしめてくれました。
おじさんはワインがおいしいと言われて喜んでいたようですが、私はおじさんに気持ちが伝わったことが、何とも喜ばしく感じました。

外国語を習う前までは意思疎通ができなかった人に、自分の気持ちを伝えること中に、外国語で話す楽しさがあるのだと思います。
次の旅の準備として、外国語を勉強するオランダやベルギーの人の気持ちが分かります。

Profile
Name: 長谷川祐里(はせがわゆり)

大学時代スペイン語を専攻。メキシコに1年間留学する。結婚後は夫の転勤でオランダに2年滞在し、現在はベルギーで主婦業に専念している。

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